プロフェッショナリズムを追求する旅

戦略コンサルタントという理解し難い職を通じて感じるところ等々、徒然に書いて行きます

戦略コンサル仕事考

抽象化の粒度を見極め、適切なメタファーを用いる

顧客に対して自分の考えをまとめて提言する際に重要なのは、どの程度の粒度に抽象化して伝えるのか、という見極めだと考えている。 提言内容を考える上では、かなり具体的なイメージまで思考を落とし込むことが必要だが、そのまま顧客に伝えても、相手が理解…

PEファンドに転じるステップとしてコンサルは適しているのか

コンサルで学んだ上で、将来的にPEファンドに進みたい、という相談を受けた。 このような人は少なくないと感じる。コンサルの次のステップとしてPEファンドを選ぶ人も居るので、そのようなパスは確かに有る。 しかし、PEファンドに転じるステップとしてコン…

戦略コンサルタントの仕事は「考えること」ということを再認識すべき

戦略コンサルタントの仕事は「考えること」にある。 当たり前のこと。しかし、意外とこのことが忘れられているのではないか?と思うことが多い。 まず、「インプットとアウトプット」ということが軸として語られる。案件を進める中で語られることがインプッ…

長考タイプは向かない

コンサルタントの向き不向きを考えると、「長考タイプ」は向かないと思う。 そのため、自分が「長考タイプ」だと感じるのであれば、早い段階でこの癖は直した方が良いと思う。 長考タイプとなる理由の一つとして、そもそも「考える」ということをしっかりと…

30歳前後でコンサルタントに転職して生き延びるために必要なこと

先日、Twitterで書いたことに絡んで。 同感。中途は出来れば社会人3年以内、かつ、(名目上の職位は別として)アナリスト教育をしっかりと受けられる立場で入ることが必要だと感じている。基礎からしっかりと層を積み重ね、固めて行かないと、早晩崩れる。 h…

早くに昇進することの是非

育成の話をする際に議論をするポイントになり易いのが「早くに昇進することが良いのか否か」ということ。 この場合、例えば目安4年の職位に対して3年で上がる(1年スキップする)、というようなものではなく、2年、場合によっては1年で上げることが良いのか…

沈黙・余白を怖がらない

プレゼンテーションの際、相手に意見を求めた時などに「沈黙」が生じるとそれを埋めに行く人が居る。 相手から求められていないのに補足の説明をしたり、説明を言い換えたり。 これは止めた方が良い。 相手に意見を求めた際、即座に返答が無い場合というのは…

育成の観点から見た議事録を作成する意味

Twitterで議事録に関して書いたら反響が大きい。 議事録作成は入社後すぐ、徹底的に赤入れして貰うべき。日本語作文の基本なので、ここで矯正されないとスライド等全てで質が上がらない。能力の高いコンサルは若い頃に徹底した訓練をされているはず。とは言…

「考える」とは何なのか

コンサルタントに限らないが、「考える」ということで決定的な要素は「言語化」。これが出来ないと「考える」ことは終わらない。 考える能力が低い人を見ていると、そもそも「考える」ことのゴールが分かっていないように感じられることが多い。「しっかりと…

「やったことない」ことの「やり方」を自分で考えることに意味が有る

昨日Twitterで書いたことに絡んで。 とは言え、既に社内に有るツールですら「使ったことがない」と言って自分から学ばない人が多い。大概のツールは気合い入れれば数日でマスターできるから、「使えるか」と聞かれたら「すぐに使えるようになる」と返事して…

若手の価値の出し方

20年程、コンサルファームで働いているが、ファームでの仕事の進め方はこの間にかなり大きく変化していると感じる。 顧客側からの要求などの変化も有るし、属する人材の質の変化など、色々な要素が影響しているが、最も大きいのは情報収集に関するツールの変…

論理の前提の捉え違いに気付かない場合が多い

Twitterで書いた下記のことについて。 コンサルは論理に裏支えされた提言が必要。これは間違いない。ここで書かれているのは、「論理」の前提の捉え違いだと思う。経営において絶対的真理はないので「価値観」を前提に組み立てるが、そこに思い込みが入って…

「仮説検証」でスタッフが示すべきこと

昨日書いた下記の記事に関して。 takashi-kogure.hatenablog.com スタッフが最初に任される作業は「仮説検証」だと思う。 上位者が示したり、ミーティングの場などで打ち出された仮説について、調査および分析を通じてその検証を行う作業。 この際、若手スタ…

「答え」は論理的に導かれているわけではない

例えば顧客に対する、ある市場から撤退すべきか否か、という提言をする場合。 「撤退すべき」か「撤退すべきでない」という、いわば「答え」をコンサルタントはどのように導いているのか。 「戦略コンサルタントは事実と論理に基づいて考えている」というよ…

言葉に対する感度を上げる

昨日からTwitter上で言葉に関して他の方とやり取りしたり、書いたりした。そもそも、日頃から私が書く内容は言葉に関することが多いと思う。 幾度も書いたが、言葉はコンサルタントにとって唯一の武器。 加えて、認識のための大切な手段。「考える」というコ…

ある時期からは案件の選り好みも必要

Twitterで書いた下記の点についての補足。 本当に駆け出しの頃は選り好みすべきでないと思っている。全てが自分の糧になる。しかし、若い頃は幅を広げることも大切だし、明確に「違う」と思うことは断った方が良い。優秀な人ほど何も言わなければ都合良く使…

上位者のレビューは怖かった

昼間に、こんな感じに偉そうなことを書いてみた。 今のファームで若手に決定的に足りないのは「この案件について俺が一番考えている」という意識というか気概。100%アサインの若手は上位者より遥かに多くの情報を見て、遥かに長い時間その案件を考えている…

臨床経験数は重要だが、それを過信すると処置方法を誤る

戦略コンサルタントという仕事では、能力や知識・スキルと共に、臨床経験数がかなり大きな物を言うと感じる。 それなりの経験数を積むと、どのような会社の状態を見ても「こんな会社は初めて見た」と感じることは殆ど無くなる。顧客は「当社は特殊なのでは」…

言語化する能力を鍛える

コンサルタントに求められる能力の中で、特に「言語化」は意識的に鍛えることがかなり重要だと考える。 コンサルタントの優劣を決める能力の中で、例えば頭の回転などは生まれ持った資質が大きいので、正直、どうにもならない部分が有る。着眼なども感覚に近…

適切な言葉を選び認識と思考を誘導する

昨日、Twitterで書いたことに絡んで。 あと、「思い付き」は無責任な(軽い)印象になるが「ジャストアイディア」だと「発想」といった肯定的な受け止め方をして貰えたりする。印象の誘導。日本語とか横文字とかに囚われず、相手の思考を自分の意図通りに誘…

コンサルタントが述べるべきこと

若手スタッフの出して来るアウトプットを見ていて、「コンサルタント」という仕事を捉え違えているように感じることが多い。 具体的に言うと、「コンサルタントとは何を述べるべきか」ということについて。 コンサルタントはファクトとロジックに基づいて語…

プレゼンテーションを上達させるために

私はプレゼンテーションが上手いと言われることが多い。他部門から「小暮さん(仮名)のプレゼンは一見の価値が有ると聞いたので」と、無意味に同席して来た人も居た。 私は間違えても技術的に上手くはない。むしろ、喋り方は下手な部類に入ると思う。 また…

コンサルタントとしての成長に不可欠な要素

戦略コンサルタントの若手に関して、成長のために何をすべきなのか。 勉強すべきこと、経験すべきことは多いが、意識して取り組むべきことは 良質な成果物を読み込む 徹底的なレビューを受ける という2点の「量」を積むことだと思う。 成果物については、プ…

「現実」と「認識」の乖離

戦略コンサルタントとして「現実」と「認識」の乖離についての感度を高めることが重要だと考える。 この仕事の基本は、この乖離を埋めて行くことに他ならない、と。 コンサルタントの仕事は「ファクトとロジック」と言われるが、これは一つの側面に過ぎない…

経営者が「会社を成長させよう」と思っていないことも多い

先日、他の人が提案プレゼンするのを横で聞く機会が有った。 それを聞いていて感じたのは「これは全くダメだ」ということ。ロジカルに、かつ、熱く語っているし、提案内容も理屈的には至極妥当なもの。 しかし、検討する対象にもならない。 何がダメだったの…

仕事の場では役者になろう

見た感じでどうにも自信が無さそうに見える人が居る。 これは2つのパターンが有って、日頃から自信が無さそうな場合と、日頃はそんなに気にならないが顧客の前に出た時に自信が無さそうに見える場合。 いずれにせよ、少なくともコンサルタントという仕事をす…

時に結論を後に言う

コンサルタントに限らず「結論を先に言う」ということを癖付けられることが多いと思う。 このように敢えて癖付けをされるのは、元々の日本語の使い方と異なるから。 日本語は本来、「(理由)だから(結論)」という構造の方が自然な流れになる。一方で英語…

「プロフェッショナル」とは何なのか

戦略コンサルタントは「プロフェッショナル」であると私自身は考えており、プロフェッショナルであることを追求していきたいと思っている。 では、そもそも「プロフェッショナル」とは何なのか? この言葉は色々な場面で色々な意味を持って使われている。「…

必要なのは「理論」よりも「持論」

先ほど投稿した「書籍録『経営戦略概論』」に絡んで。 戦略コンサルタントとしてやって行く上では一定の理論習得が必要となる。 経営戦略論然り、組織論然り。 物事を考えて行く上でやはり理論は非常に大きな意味を持つ。 一方で、理論に基づいて語っている…

数字は比較で意味を持つ

今日は余裕が有るので、書斎で雑務を片付けながらテレビをかけていた。 各局同じような感じで、「新型コロナウィルスの感染者が2万人超え、死者も400名超」ということで何だか大騒ぎしている。 まだ対処法の無いウィルスなので感染拡大に対して気を付けない…