プロフェッショナリズムを追求する旅

戦略コンサルタントという理解し難い職を通じて感じるところ等々、徒然に書いて行きます

「戦略コンサルタント」とは何か

「戦略コンサルタント」という仕事がある程度の市民権を得てから随分と経つような気がするが、その仕事の内容についてはまだあまり正しく理解されていないし、そもそも「戦略コンサルタント」自身もその点についてしっかりと考えている人は多くないと思う。

個人的にはコンサルタントはマネジャーになって初めてコンサルタントとしてのキャリアが始まると考えている。逆に言えば、マネジャー未満(アソシエイト・アナリスト)についてはコンサルタント固有の何らかが身に付くというよりも、どの業界でも通用する汎用的な知識・スキルが身に付くに過ぎない(汎用的な知識・スキルが身に付くということ自体、若い時にコンサル業界に身を置く大きなメリットだとは思う)。

 

「戦略コンサルタント」を「戦略についての助言をする人」と捉えると、実態とは大きく異なる。今の時代に戦略系ファームであっても戦略案件は少ないし、そもそも昔から戦略案件「だけ」をやって来たわけでもない。

また、「戦略コンサルタント」というのは日本固有の表現だと思っていて、海外だと「Management Consultant」という表現の方が多い(と思う)。

 

戦略コンサルタントの仕事としては下記のようなものになるかと思う。

  1. 世の中/業界の変化(将来の姿)を洞察する
  2. 自社の立ち位置や強みを踏まえ、自社が依って立つものを明確にする
  3. 基本となる闘い方(ビジネスモデル)を定める
  4. 闘い方に照らして資源配分(ビジネスポートフォリオや人材配置等)を考え、不要なものを特定する
  5. 実現に向けての障壁/ボトルネック(組織体系や人材、管理方法、企業風土等)を特定し、その解決方法を明確にする
  6. 実行計画を立てる
  7. 実行を支援する

(取り敢えず思うままに書いているので、後で見返して書き直すかも知れない)

 

この中で、1.~4.までが「戦略案件」と呼ばれるものの範疇だと思う。しかし、以前から5.の部分の案件も多い。

 

過去の戦略コンサルタントの付加価値の中心となるのは3.と4.だったように私は感じている。

3.についてはグローバルネットワークを活かした先進事例の収集を軸に、情報の非対称性を利用して価値を出す。4.は第三者故の客観性を利用して、時として冷徹に結論付ける。これが価値。

一方で1.や2.については、顧客が考えていることを「気の利いた言葉」で形にすることが中心。これ自体も価値は有るだろうけれども、顧客でも多少の質の高低はあれどできること。

 

ここ最近では7.をアピールするケースが増えていた。

「絵に描いた餅で終わらせない」というのが常套文句だが、正直、これに大金を払う意味は私は分からない。

 

では、今後の「戦略コンサルタント」は何が価値となるのか。

 

大きく1.か5.のいずれかの部分が強くなるのかと考えている。

 

これだけ世の中の変化が激しくなってくると、その時々の前提事項(技術・消費者の価値観等)を踏まえ、社会に対する考え方を瞬時に切り替えて行くことが必要となる。

そのため、1.については、戦略コンサルタントの価値は一層高まると思う。但し、それがコンサルフィーに繋がるのかは別(コンサルファームのビジネスモデルの問題:いつか改めて考える)だが。

 

もう一つは、戦略を考えることは顧客側でできるが、特に「組織を変える」という点については内部者では難しいことから、5.の必要性は今後も続くし、強まるはず。

この点については以前から必要性は有ったはずだが、これまでは、変わらなくても(「戦略は描けたが成果が出ない」が続いても)何とか生きて来れたという点から案件に繋がり辛かったと思う。しかし、社会の変化などを受けても、特に日本企業は企業の仕組み・価値観等を根本から変えなければ立ち行かなくなる可能性が高い。

そうなると、この部分でのニーズは高まると思う。

 

こう考えると、これから先の「戦略コンサルタント」はシンクタンク(McKinseyのMGI的なもの)か、組織変革系コンサルか、どちらかに寄って行くように考える。