プロフェッショナリズムを追求する旅

戦略コンサルタントという理解し難い職を通じて感じるところ等々、徒然に書いて行きます

コンサルタントが業者扱いされる理由

最近はコンサルタントが「業者」に成り下がっているケースが多いように感じる。
確かに業者に違いはないのだが、以前は「経営者のパートナー」という立ち位置で案件に(もちろん全ての案件ではないが)臨んでいたはず。
一方で現在は「経営企画部の作業の外注先」程度の存在である場合が多い。

 

顧客がコンサルを使い慣れて来て特別視しなくなった(過剰に有難がらなくなった)といったことも要因の一部だが、その殆どはコンサル側に起因すると思う。

 

コンサルが業者扱いされるのは、顧客と同じ視座から物事を捉え、表層的な課題認識・対処療法的な解決策提示に留まっているから。

本来の戦略コンサルタントであれば、例えば成長戦略を描く案件の場合、先進市場(多く使われるのは米国)や他業界での事例を踏まえて市場進化の原理等を導出し、それに従った議論に進めるといったようなアプローチを採るべき。
また、上手く行っていない企業の建て直しであれば、表層的な問題点から深層に分け入る。特に組織・人の行動原理を踏まえて、なぜそのような問題が生じているのか、メカニズムの提示が不可欠。

 

個別事象を基に洞察を加え、更に概念化して示す。
これが必要だと考えている。

 

しかし実際には「先進市場ではこうやっています」、「他業界のこういったことは参考になるのではないでしょうか」もしくは「貴社の問題点を整理し、因果関係を示すとこうなっています」といったものの羅列。
問題点の整理の場合だと、「Why?を繰り返せ」を愚直に守っているだけで、飛躍が無い。


案件の途中の討議会などで使われる資料であれば百歩譲って有り得るとしても、最終報告書に至ってもこのレベルから脱していないケースが非常に多く見受けられることを危惧している。

これでは結局、顧客にとって「少し頭が良くて、調査・分析スキルに長けた部下」に過ぎなくなってしまう。これが「高級文房具」と揶揄される所以だし、確かにこれだと高級文房具であると私も考える。

 

顧客は自社の課題は99%理解しており、その解決を図る術も分かっている。企業は多少の傷であれば治せる自己治癒力を備えている。


確かに顧客(社長や経営企画部など)が既に分かっていることでも、コンサルという何となく権威が有るように錯覚する人間が申し上げることで、改めて課題認識を強める/醸成する、もしくは社内が動きやすくなる(社内の人が言うよりも角が立たない)というコンサルの効能も有るはず。

しかし、本来のコンサルの役割はそれだけであってはならない。
顧客が自分では気付き得ないところまで踏み込むべき。


間違えても経営企画部の人に使われる存在になってはならない。
これが私の持論。

コンサルにとって経営企画部は窓口、せいぜいが仮説構築のスピードを高めたり、仮説検証の最初の手段。

(もちろん、そのような姿勢を顧客に対して見せないが)

 

実際問題としては、稼ぐために高級文房具を売って歩くこともコンサルタントを抱える会社を運営するという観点からは必要。
しかし、どのような場合であっても本来必要な視座で案件に臨めるか否か。これがコンサルタントとしての価値の差を生むはず。