プロフェッショナリズムを追求する旅

戦略コンサルタントという理解し難い職を通じて感じるところ等々、徒然に書いて行きます

To be Simple, To be Elegant.

To be Simple, To be Elegant.

 

私の信条を表現する言葉として、多分、大学時代から使い続けている表現。

最初にどこでこの言葉を聞いたのか正確に覚えていないが、「シンプルでエレガントな証明」というワンセットで覚えているので、大学の講義の中で聞いたのかも知れない。

とにかく「その言葉!!」と瞬間的に思った感覚だけ残っている。

(プライベート用のPowerPointテンプレートには、20代の頃からずっと、この言葉をフッターに記している)

 

コンスタンティンブランクーシというルーマニア出身の彫刻家の言葉でこんなものが有る。

単純さは、芸術の目的ではない。しかし、事物のリアルな感覚に接近してゆくと、知らず知らずに単純さに到達するのである。単純さは、その底に複雑さを秘め、その意義を理解するためには、その本質によって人は成長しなくてはならない。

この言葉も実は、どこで初めて知ったのか覚えていない。私は自分の心に響いた言葉を記しておく「言霊集」というものを作っていて、そこに出所無しで記されているので、ネットで見掛けたのかも知れない。

(この人の作品はまさにこの言葉の通りだと感じていて、非常に好き)

 

コンサルタントという仕事に取り組み、絶えず悶々と考え続ける中で、これが芸術においてだけではなく、普遍的真理のように感じられる。

 

事物のリアルな感覚に接近してゆくと、知らず知らずに単純さに到達する。

単純さは、その底に複雑さを秘める。

 

言い換えると、単純に示せないということは、まだ接近し切れていないだけ。究極的には秘めなければならない複雑さが表に出てしまっているということは、到達すべき水準に達していない。

 

世の中で観察される物理運動は非常に複雑だが、それらの本質となる物理学の法則は全てにおいて極めてシンプルに表現できる。

物理学者は、複雑な物理運動から、本質となる法則を導き出した。これにより、様々な物理運動を表現できるようになり、その運動に対する理解度が非常に高まる。そしてそれは次の洞察に繋がる。

 

戦略コンサルタントが観察している事象も同様だと思う。そして、戦略コンサルタントとして取り組むべきことは物理学者と同じ。

企業の中では複雑に絡まった様々な事象を見ることができるが、解きほぐしていくと非常にシンプルな構造で示すことができる。物理運動が幾つかの法則に分解でき、その組み合わせで説明できるように。

本質を突いたアウトプットにより企業に起きている事象を表現し、それにより経営者の理解度が上がる。

 

やはり、「シンプル」に行き着くことが重要。

 

そして、シンプルに本質を示したアウトプットは非常にエレガント。

数学の証明は時として息を飲むほどに美しいが、戦略コンサルタントのアウトプットも同様。ファーム内の過去のアウトプットを色々と見ている中で、「凄い」という表現を超えて「美しい!!」と感じるアウトプットに出会うことが有る。

それは、自分自身に高みを見せ、辿り着くべき頂上を示しているように感じる。

 

自分自身は頂上を示すほどのものはできないかも知れないが、少なくとも、そこへの道を先導できるようなアウトプットを出して行きたい。

 

To be Simple, To be Elegant.

 

やはり、これを目指したい。