長考タイプは向かない
コンサルタントの向き不向きを考えると、「長考タイプ」は向かないと思う。
そのため、自分が「長考タイプ」だと感じるのであれば、早い段階でこの癖は直した方が良いと思う。
長考タイプとなる理由の一つとして、そもそも「考える」ということをしっかりと理解していないことも有ると思う。
先日、下記のような記事を書いた。
「考える」というのは、違和感を起点に言語化するということだと(取り敢えず現段階では)考えている。
この「言語化」という意識が足りないことにより、ただひたすらウンウンと唸っているという状態に陥る人を多く見る。
本人は考えているつもりだし、「コンサルタントは考えることに価値が有る」といったようなことを言われるので、そのような時間を「価値の有るコンサルタントらしい」と感じているのかも知れない。
しかし、これは全く無価値なので、とにかく「言語化」を常に意識すること。
このような、そもそも「実は考えてもいない」という人は論外だが、実際に考えているとしても、自分なりの結論に達するまでに時間を要することは望ましくない。
囲碁や将棋の世界などでも「長考タイプ」という人は居る。初手に1時間以上掛ける人も居るらしく、そのような人が何を考えているのかは分からないが、ある程度局面が進んだ所での長考は分からなくはない。
しかし、コンサルで長考はNG。
何が違うのか。
簡単に言えば、囲碁や将棋は「待った」をできない。一度そこで結論(手)を下したら、その手を取り下げることは不可能。
しかしコンサルタントは違う。幾らでも「待った」をできる。取り敢えず一度「手」を打ってみて、「違う」と思えばやり直せが良い。
思考の精度を高める上でも、取り敢えず「こんな感じ」というものが浮かんだら、一度言語化する。そして、それを仮説として思考を次に進めてしまった方が良い。
そして「その仮説は違う」ということが分かったら、場合によっては元の所まで立ち戻る。少なくとも、「このような前提に立つと違う」ということが分かっているだけ、先に進んでいる。
コンサルタントが考える対象は複雑であり、かつ、最初から全てを見渡そうと思うと非常に広く考えることが必要。
そのため、考えが進まない、と思ったら、一度ある前提を置いてみる。その前提が正しいかどうかは分からないが、「こう考えたらどうなるのか」というような仮定を置く。
これで取り敢えず一方進むことができる。それによって考える対象を取り敢えず絞り込むことができる。間違っていたら、戻って、別のところに一歩進んでみる。
このような、所謂仮説検証のサイクルを高速回転させる方が良い。
一箇所でじっくりと考える位なら、取り敢えず「こんな感じです、知らんけど」というようなものを出す。(勿論、「知らんけど」などと言ったらボコボコにされる)
それをベースに議論すると、意外と何か見えたりする。余程酷い考えであれば別だが、少なからず考えられたものであれば「違うけど、何で違うのか」といった思考の取っ掛かり(「違和感」)程度にはなる。
なお、コンサルタントとして顧客と対峙する際には、「自分が以前に出した考えを否定できるか」は、その人のコンサルタントとしての能力を見る上で一つの重要なポイントだと思う。
良くないのは、一度顧客に出したものを否定することを恐れ、「違っていた」と自分でも認識しているものを正当化しようと頑張ること。これは本来は論外なのだが、結構多い。「こうすれば正当化できる」という全く違う方向にエネルギーを使い出す。
「違っていた」と認識したら、自分が出した案であっても取り下げること。
そもそも「最終報告に至るまでは修正される可能性が有る」ということは相手に理解して頂くことが必要だが、それでも、自分の言ったことを修正することに対して色々と言われることは有る。
しかし、顧客に何と言われようが、違うものは違う。これは死守すべき。
この点も合わせて認識しておいた方が良い。