プロフェッショナリズムを追求する旅

戦略コンサルタントという理解し難い職を通じて感じるところ等々、徒然に書いて行きます

仕事の場では役者になろう

見た感じでどうにも自信が無さそうに見える人が居る。

これは2つのパターンが有って、日頃から自信が無さそうな場合と、日頃はそんなに気にならないが顧客の前に出た時に自信が無さそうに見える場合。

 

いずれにせよ、少なくともコンサルタントという仕事をする上で、得なことは何もない。

これは面接の際などにも同様。

 

コンサルタントはその人の「雰囲気」も含めて売り物と考える必要が有る。

同じ発言をしても、「誰が言うのか」によって全く受け止められ方が違う。職位による違いも有るが、それ以上にその人の持っている雰囲気が大きいと思う。

コンサルタントに必要な「説得力」に大きく影響するのは、その人が自信あり気に見えるかどうか。当たり前のことで、発言している人が自信を持っていない(ように見える)内容を、顧客が「なるほど」と素直には受け止めない。

 

自信が無さそうに見える要因としてまず挙げられるのは、そこに至るプロセスが不十分であること。

顧客の前に立つまでに、「ここまで調べ、ここまで考えた奴は他に居ない」と自分自身で思えるまでやり尽くしたのか。これが大きい。

 

しかし、これだけでどうしようもならない人も居る。元々自信が無さそうに見えてしまう人。

 

それ以外にも、多くの人が何らかの「自分の嫌いな性格」が有るのではないかと思う。

例えば悲観的というのも同様。どうしても楽観的になれないのは性格の問題なので「楽観的になれ」と言われてもどうしようも無い。

 

とは言え、仕事の場でそれを全て表に出すのはやはり損。

「それも個性だ」と言ったところで、相手の受け止め方は変わらない。「自信が無さげに見えるのは単に私の生まれつきの雰囲気/性格なので、気にしないで下さい」と言われても、やはり自信無さげに見える人の提言を聞くと「本当に大丈夫かな・・・」となる。

 

このような人は、役者になって「自信が有る人」を演じることを心掛けると良いと思う。

もしくは「自己暗示」をかける。

 

自分の理想像を描き、その役を演じる。

性格を変えることは難しいけれど、(テレビドラマに出るレベルは難しいが)役者を務めるのは努力で行ける。

 

これは、私自身がかなり意識的に行って来たこと。

 

私の場合、極度の人見知りであることと、非常に悲観的であること。この2つがコンサルに限らず全ての仕事の(もしくはそもそも生きて行く)上でマイナスになるという認識が有った。

とは言え、人と最初に接することが非常に苦痛だった。初対面の人と会う時には緊張で喋れなくなるし、そもそもその前に腹を壊す。

(ちなみに、人と話をしたりすること自体はむしろ好きで、あくまでも「人見知り」ななだけ)

悲観的なので、何を考えてもワーストシナリオしか頭に残らない。今も、提案や報告会の前には悪い場面しか頭に浮かばない。

 

そのため、自己暗示を意識的にかけ続け、そのような役を演じた。

まず見た目を変える。髪型、服装、持ち物等々。姿勢も変える。座り方など。

やはり役を演じる際には、そのプロである俳優の演技が参考になる。ドラマや映画で「一流ビジネスマン」の演技を徹底的に見て、なり切る。

私の場合はまだ慣れていない人と会う際に、ドラマで見た役者の雰囲気を自分に重ね合わせてイメージトレーニングをし、なり切るようにしていた。(随分と織田裕二を見た覚えが有る:何のドラマかは覚えていないが、「踊る大捜査線」でないことは確か)

人と会う前には改めて自己暗示。「俺は社交的で楽観的な奴」。

感覚としては、任侠映画を見て映画館を出て来る人が肩を怒らせて歩く感じ。(本当にこんな人が居るのか分からないが)

 

今も私を「非常に社交的」と感じる人は少ないと思うが、とは言え、人見知りと感じる人も少ないと思う。初めての人とも自然に喋っている(つもり)。

自己暗示をかけて役を演じているうちに、その役に自分自身が多少なりとも近付いて来たと思う。少なくとも初めての訪問先に行く際に腹を壊したり、緊張することは無くなった。

悲観的なのは相変わらずだが、表に出てきそうな時に自己暗示をかけているので、これも仕事上で気付く人は少ないと思う。

 

「二重人格」というのはあまり良い表現ではないが、仕事の上ではこれも一つのスキル。

 

雰囲気は自然に出るものではなく、自分で作り出すものだと思う。

「自信」という面については、徹底的に調べた/考えたといった根拠となる自負と、それを相手に示すための立ち居振る舞い。

 

仕事の場では役者を気取った方が良い。

但し、徹底的に調べる/考えるといったことを行った上で。