コンサルタント向け推奨書籍(3. その他)
GWに向け、以前に読んだ本を少し読み返そうと思って本棚を眺めていたので、ついでに、コンサルタントとして役に立ったと感じた本のまとめ。
3.1. デザイン関連
3.1.1. 伝わるデザインの基本
良いスライドは、内容は当然だが、見た目も洗練させることが必要だと思っている。
見た目はセンスもかなり必要だが、色やコンテンツの配置、余白の取り方などルールを身に付ければ、ある程度の所までは誰でも行けると思う。ちなみに、最初のファームに入った際にはそのような研修も有り、受けた覚えが有る。
それらが纏まっていて非常に優れているのがこの本。私が読んだのは旧版だが、こちらは改訂版。
スライドを作る立場の人は是非読んだ方が良いと思う。
3.1.2. デザイン入門教室
「伝わるデザインの基本」がどちらかと言えば「綺麗な資料の作り方のコツ」だとすれば、こちらは「グラフィックデザインのコツ」と言えるような本。前者の方がコンサルタントの資料作成にそのまま役に立つが、こちらも読んだ方が良い。
特にこちらの「実践演習」の章は、資料を洗練させる際に非常に有効。
セミナー用のマテリアルなど、デザイン的に作り込む際にはこの辺りまで意識することが必要だと感じる。
3.2. 組織理解関連
3.2.1. 失敗の本質
非常に有名な本だが、これは日本企業の組織を見る上でかなり示唆が多いので、是非読んでおいた方が良い。戦時下の日本軍と、今の日本企業。何も変わっていないと感じると思う。
3.2.2. 日本社会のしくみ
特に雇用について、日本の仕組みは他国と異なった特徴的なものと言われることが多い。しかし、それがなぜ成り立ったのかといったことについてはあまり語られない。
この本では、日本型雇用の成立経緯についてしっかりと書かれている。
日本企業と向き合うのであれば、一度読んでおいた方が良い内容だと思う。
3.2.3. 君主論
ここで今更取り上げるような本ではないかも知れないが、この本はやはり示唆が多い。
マキャヴェリと言うと、何となくネガティブなイメージで捉えられることも有るが、企業経営のリアルを考える際には、この考え方は非常に重要。
なお、個人的には下記の本もお勧め。
君主論のエッセンスをそのままに、小学校のクラスでの覇権を握るまでのストーリーとして描いている。
ちなみに、架神恭介氏は私のお気に入り著者の一人。面白い本が多い。
私が最もお勧めするのは下記の本。
これを読むだけで、楽器を全くできない状況からものの数日で誰でもパンクロッカーになれるという、物凄い一冊。
・・・完全に横道に逸れてしまった・・・。
3.3. 歴史関連
3.3.1. 日本近代史
幕末以降の近代史に関する入門書だが、しっかりと書かれていて読み応えある。
年配の経営者と話す際には、歴史に関する話題が上ることも多い。
江戸時代よりも前が話題になることは少ないし、その辺については教科書程度の理解さえ有れば「詳しく知らない」で問題無いと思う。しかし、明治期以降についてはある程度の理解が無いと恥ずかしいと思う。
教科書に加えて、この辺の本を一冊、しっかりと読み込むと良いと思う。
3.3.2. 驕れる白人と闘うための日本近代史
この本は、日本人の著者が、ドイツ語でドイツ国内で発刊したものの日本語訳。
かつては盲目的な「西洋礼賛」、最近はその揺り戻しなのか過剰かつ短絡的な「日本礼賛」の風潮が有る。いずれも気持ち悪いが、最近の風潮は特に。
しかし、しっかりと日本を理解し、良い所は良いという認識は必要。
世界と仕事をする上で、この本は前提として必読。
3.3.3. 坂の上の雲
この本は絶対に読んでおいた方が良い。
とは言え、少し長い(しかも間延びした感じを受ける)ので、読むのが苦痛の人は取り敢えず映像でも良い。NHKで3年に亘ってやったドラマは非常に良かった。
これは3作品でセットだと思う。
いずれも幕末を描いた話だが、立場が討幕派、佐幕派、幕府内部と立場が全く異なる。同じ事象でも、立場が異なると見え方が全く違う。
維新に関わらず、組織の変革においても、保守派、改革派それぞれの正義が有るが、時としてそれらの正義を忘れ、ある一方(特に改革側)からだけ考えて「我こそが正義」となりがちだが、コンサルという立場はそれだけではいけないと思う。
ちなみに、上で「坂の上の雲」を取り上げたが、司馬遼太郎初心者であれば先に「竜馬がゆく」から始めた方が良いかも知れない。
3.3.5. 世界史関連
下記の記事をご参照下さい。
3.4. その他
3.4.1. コンテナ物語
少し前に新装版が出ているのを書店で見掛け、この本が大衆受けするのか・・・と非常に驚いた。
この本は、単なる箱でもある「コンテナ」がどれだけ大きな変化を生むものだったのか、そして、抵抗勢力が有る中でそれをどのように浸透させたのか、というプロセスが描かれた本。
プロジェクトで直面することに通じる内容。
3.4.2. 合理的市場という神話
ファイナンス理論の探求と崩壊の歴史が描かれた本。
ファイナンス理論は、自然科学を説明する武器としての数学を駆使して社会科学を説明しようとするものだと思っている。しかし、本当に説明が可能なのか。確かに、極めて抽象化されたモデルの説明は可能だろうが、ファイナンス理論の領域になると難しいのでは・・・などと色々と考えている中で見付けて読んだ覚えが有る。
この領域に興味が有る人であれば、面白く感じられるのではないかと思う。
以上。
また本棚を整理した時に追記などします。