プロフェッショナリズムを追求する旅

戦略コンサルタントという理解し難い職を通じて感じるところ等々、徒然に書いて行きます

「土台」が出来て初めて価値を出す勝負に臨める

昨日書いた記事に絡んで。

takashi-kogure.hatenablog.com

 

資質の面で大きな問題が有るわけではないのに、早々に脱落する若手というのが一定数居る。過去に数多く見て来た。

この人達に共通することを考えると、「基本を疎かにしている」という点に尽きると感じる。

 

 

コンサルタントは「考える」ということが仕事。ここに価値の源泉が有るのは間違い無い。

しかし、「考える」ためにはその土台が必要。業界や顧客の業務に関する理解、戦略や財務、人事などの知識、そしてデータの集計等々。

これらが不足している状態で「考える」ということを意識しても、十分なアウトプットを出せるわけがない。

この点についての意識が希薄。基本を十分に身に付ける前に「考える」で価値を出そうとする。

 

まず、戦略や財務、人事などについては、「教科書」的な知識を早い段階で一通り身に付けることが必要。幅広く色々な本を読むというよりも、まずは一冊選び、幾度も読んだ方が良い。

加えて、案件にアサイン後の初動での情報収集。業界、顧客についての知識。スタッフと話をしていると、そもそもその会社の仕事の流れがどのようになっているのかも理解できていない場合が少なくない。徹底的に調べ、理解することが必要。

そして、基本的な切り口からの分析を、正確かつ迅速にできること。

 

これらがコンサルタントにとっての「足腰」。足腰が弱い人は大成しない。

結果を出せるパートナー、マネジャーは、若手の頃に例外無く「優秀な作業者(分析屋)」だった。その基本が有るから、「考える」ことができる。

 

「私が出した分析結果を踏まえた議論がしたい」といった要求が有ったりする。

若手からの「分析結果」を無視している場合。これは、出して来た「分析結果」が分析結果として意味をなしていない場合が殆ど。

本人にとっては例えば「新しい発見」なのだろうが、それなりに業界について見ていれば「常識」だったりする。頑張って調査・分析を行い「常識」に辿り着く。これは無駄。

もしくは、分析の切り口が見当違い、など。

 

取り敢えず、徹底的に情報を集めるという癖を身に付ける。必要な分析が何かを特定し、それをざっと終わらせられるスキルを身に付ける。

こういった「土台」もしくは「足腰」の部分を早急に身に付けること。これが出来て初めて、「考える」で価値を出すことに意識した方が良い。

 

「考える」ことがコンサルタントの価値なのは確か。

しかし、コンサルファームに入ってすぐは、そもそも「コンサルタント」ではないと考えた方が良い。この点について勘違いし易い。

私は「コンサルタント」と名乗れるのは通常のファームでのマネジャー以降だと考えている。マネジャーになって初めて、「コンサルタント」としての勝負のスタート地点に立つ。

つまり、アソシエイトまではそのための「準備期間」。

 

その間に「土台」をしっかりと作ること。それが出来て初めて、価値を出す勝負に臨むことが出来る。